ワタシとわたし.etc.

皆さんは自分のことを指す言葉に何を使いますか?
筆者が日常的に使っているのは「私」です。場面によっては他の言葉を選択することもありますが、基本的には「私」を使っています。口頭の場合はもちろん、今書いている記事でも大体「私」と表現しています。
上記のように記事によっては「筆者は」という言葉を使う場合もあります(*)。大体プライベートな内容の記事を書くときは「私」を、社会的な問題を取り扱うときは「筆者」を使うようにしていますが、あまり厳密には使い分けておらず、その時の気持ちや雰囲気で使い分けているように思います。
幼少期は大体「僕」と言っていました。中学生ぐらいになると、一人称を使わずに会話をしていたように思います。日本語は人称代名詞を使わないで構文ができるので、こういう表現が可能です。
仕事をするようになってからは「私」と言っていたのですが、ある時仕事の終わりに飲み会に行こうという話になった際に、家で夕食を作っていることが事前に判っていたので、つい「僕は今日家で食べますので」と言うと、上司が笑いながら「ボクは家で食べるの?」と言われ、なにか恥ずかしい気持ちになりました。今考えるとパワハラ、モラハラ案件だった思うのですが、1980年代の中ごろではこれが当たり前だったので、それ以来「僕」をうっかり言わないように心がけるようになりました(別にそんな必要もなかったとは思うのですが)。
ここから少し二人称の話をします。私はそもそも人称代名詞を使うのがあまり好きではなく、自分のことだけでなく、相手を呼ぶときにも「あなた」や「君」といった言葉は使いませんでした。大学時代はみな大体愛称をもっていたので、愛称に「ちゃん」や「さん」つけて呼んでいました。
妻のことを呼ぶ際の言葉ですが、交際時代、大学では先輩・後輩の関係だったので、人前で「〇〇先輩」や「○○さん」と呼んでいました(○○には名字が入ります)。二人だけの時は、私は後輩でしたが年齢は上でしたので、妻は愛称に「さん」をつけて私のことを読んでいました。私はその時々で表現を変えていましたが、「☓☓さん」(☓☓には名前が入ります)という言い方は、恥ずかしくてあまり言えませんでした。結婚して子供が出来てからは、互い「おとうさん」「おかあさん」と呼ぶことが多くなりました。
ふたりの娘に対して、幼少期には「☓☓ちゃん」と言い、中学生のころから「☓☓」名前だけで呼ぶようになりました(ただ次女に関しては、名前の加減で「☓☓ちゃん」の方がいい安く、今でも「ちゃん」づけで呼ぶことが多いです)。
娘からわたしの対しては長らく「とおちゃん」でしたが、最近は長女が「☓☓さん」と名前呼びで(時々愛称で呼ばれることもあります)、次女は「おとうさん」と呼んでいます。
プライベートで時々使う言葉に「ワシ」があります。と言っても別に男らしさを表したいわけではなく、一種のギャグとして使っています。この表現を使うようになったきっかけですが、漫画家の鳥山明(1955~)が自分を表す言葉によく「ワシ」を使っていたので、それを真似たのが始まりです。そのせいかどうか判りませんが、長女がよく「ワシ」と言っています(もちろん家族や親しい友人間だけですが)。またネット界隈では「ワイ」ということが多く、LINEなどではたまに「ワイ」を使っています。
日本語は構文の中に人称代名詞をあまり使わない反面、人称代名詞の種類自体はかなり多いという、かなりめんどくさい言葉です。
例えば古典文学おいて人称代名詞を正確に使えば、登場人物の上下関係が判るのですが、それをあまりしないので、相手に対して使う敬語の種類から、上下関係を推し量るということがあります。
少し話が違いますが、古典文学の中にはあいまいな表現を複数の人間にした結果、それを読み間違い争いになってしまうという話があります。しかもこの読み間違いを意図的に仕向けるといった話もあります。この感覚は現代の日本の政治や社会にまで繋がっているように思います。
人称の表現はその言語の文化を表しています。またそれは時代によっても変化していきます。皆さんも自分の使っている人称について振り返ってみてはどうでしょうか?

* 筆者
以前、間違えて「著者は」という言葉を使ってしまい、娘に「著作を出していないのに著者って書くなあ」とツッコまれてしまい、あわてて直したことがありました。

ブログランキング・にほんブログ村へ
local_offerevent_note 2020年12月15日
  • スピノザ

    フィットボクシングでダイエットしてます