私の好きな現代音楽(7)

今回はウクライナ編です。

ドミトロ・クレバノフ(1907~87)

【画像引用 Wikipedia】
クレバノフはウクライナ出身で、ソビエト連邦で活躍した作曲家で、同じソ連の作曲家ショスタコーヴィチ(1906~75)とほぼ同じ時代を生きた人です。前衛的な手法と判りやすいメロディーを駆使した作品を書き続けましたが、1945年に作曲した交響曲第1番「バビ・ヤールの犠牲者の思い出に」で、ロシアにおけるユダ人差別を描いたことで、公的に「ソ連に差別はない」ということから、「反愛国的」という批判を受けました(同じ素材を使ったショスタコーヴィチの作品も非難されました。)。その後は批判を受けないような作品を書き続けました。フルシチョフ(1894~1971)のスターリン(1878~1953)批判(1956)以降、批判された過去の作品が再評価されるようになり、1987年に亡くなりました。
実は筆者も今回の記事を書く中で初めて知った作曲家で、美しい旋律を駆使した作品に心を打たれるものがありました。オペラ・バレエ・交響曲・室内楽などの作品を残しましたが、日本の俳句を歌詞にした声楽曲「日本のシルエット」(1983)といった作品を残しています。

「日本のシルエット」より第1曲

ヴァレンティン・シルヴェストロフ(1937~)

シルヴェストロフはウクライナ出身の作曲家で、ソ連時代からソ連崩壊後にかけて活躍しています。シルヴェストロフもクレバノフと同じように、その前衛的な手法がソビエト当局に批判されました。そのため彼の作品は国内より西欧諸国で演奏されることが多く、そこでは高い評価を受けていました。初期の作品は前衛的で攻撃的といってもよい作風でしたが、次第に判りやすいメロディーを使った作風へと変わっていきました(これは同時代のポーランドのヘンリク・グレツキ(1933~2010)や、エストニアのアルヴォ・ペルト(1935~)にも通じるものです)。交響曲も含めた多彩な作品を作曲し、来日したこともあり、日本でもたびたび演奏されています。
シルヴェストロフに関しては名前も作品も知っていましたが、ウクライナ出身であることは今回初めて知りました。

「ピアノソナタ第1番」(1972)


クレバノフとシルヴェストロフの作風は大きく違いますが、共通点としてウクライナの音楽やメロディーを、作中に取り入れていることがあります。時代を超えて祖国に対する愛を物語っているかと思います。彼らの生まれ育った地に再び平和が訪れることを願ってやみません。

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local_offerevent_note 2022年4月12日
  • スピノザ

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