特別養護老人ホームで働いて(1)

老人ホームとは?

これまで私は過去に勤めていた福祉の仕事について書いてきましたが。今回は老人介護の仕事について書きたいと思います。ただしここで書かれたことは、10年ほど前のことなので、現在とは若干変わっていることもあるので、その点を留意して読んでいただけるとありがたいです。
私の働いていた施設は、介護保険法に基づき、介護保険が適用される介護サービスを受ける高齢者の入所施設で、特別養護老人ホームと呼ばれています。
私の勤めた施設は定員50名あまりのところです。それ以外に部屋の空き状況にあわせて、ショートステイも受け入れていました。女性入所者が全体の7割程度で、どこの施設でも大体これぐらいの割合です。職員も同じ割合で女性ですが、業務の都合上同性介護は難しいため、男女ともに介護を行っていました。9割程度の方が身辺自立が困難な方で、症状が軽い方も含めて、ほぼ全員が認知症の方でした。職員はそれぞれケース担当を持っており、大体職員1人につき5~6人程度を担当していました。
これまで介護体験としては、大学時代ボランティアで行っていた身体障害者の介護がありました。またおむつ交換は自分の子どもで行った経験があります。福祉施設の職員でもいわゆる「下の世話」をいやがる人が多いのですが、私はその点に関してはあまり抵抗がありませんでした。

排せつ介助について

おむつ交換は利用者の状態にあわせて、回数や利用するおむつの種類の選定を行います。全員に吸収力のあるおむつを付けられると良いのですが、そうすると費用がかさむため、尿量・便量にあわせておむつの種類を決めていました。しかし体調によって尿量・便量は変化し、また認知症のためかおむつを外してしまう人も多かったです。そのため尿や便が漏れ出してしまうことも多く、場合によっては全身の更衣を行わなけらばならないことも度々ありました。特に夜勤などで1人でおむつ交換を行っている時に、漏れている方が続くと、体力だけでなく精神的にも辛かったです。
抵抗を感じたのは異性の介護もしなければいけない点でした。最初はかなり抵抗があったのですが、忙しさのため気にしておれず、割とすぐに平常心で行えるようになりました。
このことに関して利用者や家族からのクレームはほとんどありませんでした。
立位が可能で自分でトイレに行ける方も多くいましたが、この場合も基本的に見守りにつくようにしました。それと特に男性の立位の方に多かったのですが、自分で行おうとして失敗する方が多くいました。見守りをしたくても利用者が拒否することも多く、無理強いも出来ないので、そういう時に失敗が多かったです。

お風呂介助について

お風呂介助も同じように男女ともに行っていましたが、おひとりだけ女性の方で、風呂介助だけは同性介助にしてほしいと希望される方がいて、当初は希望通りの対応をしていたのですが、次第に勤務が回らなくなり本人と家族にお願いして異性介助も行うようになりました。
入浴は横臥姿勢で昇降機を使って全身が湯船に入るもの、ハンモック上の昇降機を使って座位で入るもの、自力で湯船に入るもの、3タイプがありました。自力で入る方も含め基本的にすべて介助で洗体を行っていました。事故が起こりやすい場面なので気を付けて介助行っていましたが、特にのぼせないように入浴時間には気を使っていました。
お風呂は衛生面だけでなく、リラックスタイムでもあるので、職員から話しかけを行って、気持ちよく入ってもらうように心がけました。

食事介助について


食事に関しては自力で食べられる方は出来るだけ食べていただくようにしましたが、誤嚥の恐れがあるため必ず見守りを付けていました。介助の必要な方に関しては、普通食、刻み食、ミキサー食の3タイプがありました。介助に当たっては食べるペースに気を付け、同じものを続けて介助しないようにし、また水分の摂取を心がけるようにしました。見守りをしていても誤嚥は発生するため、その際は吸引機を使うなどして対応をしました。食事の際も職員から話しかけを行い、少しでも食事の時間を楽しく過ごせるようにしました。経口での食事が困難な方は、経管栄養食(胃瘻)行いました。これは胃の部分にチューブを通し、そこから流動食とお湯を混ぜ合わせたもの(水では冷たいため)を、点滴の要領で注入するものです。量や内容は利用者ごとに決め、食事の時間にあわせて行っていました。
3時にはおやつの時間がありました。これは基本的におやつ販売の時間に利用者に買っていただきましたが、購買が難しい方に関しては、施設の用意したものをお出ししました。おやつ時間の際にも、水分摂取や誤嚥に気を付けて見守りをしました。おやつ時間は楽しみの時間なので、音楽を掛けたりしてゆったりとした時間を過ごせるようにしました。
一度深夜の3時にコールがあり、急いで駆けつけると「おやつはまだですか?」と言われたことがありました。
この記事は「特別養護老人ホームで働いて(2)」に続きます。

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local_offerevent_note 2020年9月22日
  • スピノザ

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