特別養護老人ホームで働いて(2)

行事について

この記事は「特別養護老人ホームで働いて」(1)からの続きになります。
老人ホームの利用者にとって行事は楽しみの最たる時間でした。ホーム内で行う主な行事は、ボランティアンの慰問で行うカラオケ大会、季節ごとの行事(お正月やクリスマスなど)などがありました。特にカラオケ大会は人気の行事でした。ふたつのグループが訪問してくれましたが、ひとつのグループは利用者にもマイクを回し、一緒に歌ったり手拍子を取ったりしたのですが、もうひとつのグループはボランティアが歌うだけで、あまつさえ利用者が歌いだすと「静かにしてください」という始末でした。後に聴いた話によると施設の管理職の知り合いで、単に自分たちが利用できる場所が欲しかっただけのようです。
また人気のある行事としてセラピードッグによる、ショータイム行事がありました。その中で利用者にドッグクッキーをもたせて、だれが持っているかを当てさせるというショーがあったのですが、渡された利用者がそのまま食べてしまうということがありました。
また私の勤務していた福祉ゾーンは、大きな福祉ゾーンのなかの施設だったので、ゾーン全体で行う盆踊りに参加をしていました。

いわゆる「拘束」について

介護保険制度の制定以降、拘束は禁止されています。例えばおむつを外したり、経管栄養チューブを取ってしまう利用者がいても、それを理由にした拘束は許されません。ただ例外的な措置として、自傷行為や身体に危険が及ぶ場合など例外的に拘束が許されています。しかしその場合でもケース会議にはかり、どうしてもほかの手段がない場合にのみ行われます。また必ず事前に家族の了解を経て行い、家族の了解が得られなければ実施しません。
拘束で多いのは、ベッドからの転倒を防ぐため、ベッドに柵を付けるというのが、最も多かったです。この場合でもベッドの周り全面に柵を付けるのではなく、最低1か所は隙間を作るようにしました。ただ柵をつけるとそれを乗り越えようとして、結果的により高所から転倒するため、返ってつけていない方が良い場合がありました。自傷行為が頻繁な場合、拘束衣を付けるケースが私の在任中に一度ありましたが、その際にも必ず拘束を外す時間を作るようにしていました。
以前は拘束に頼ることが多く、現在でも度々違法な拘束が行われていることが報告されています(拘束が行われているところでは、虐待が行われているケースが多いです)。自傷行為や転倒はなんらかの精神的な理由があることが多く、拘束に頼らず精神的問題の解決によって、事態を好転させる方向にもっていくことが大切です。

夜間勤務について

利用者の方は一部の例外を除き、365日24時間ホームに入所されています。従って年末年始はもちろんですが、夜間も含めて常時職員が勤務していることになります。私の勤務していた施設では、身体の状態によって3つの棟に利用者の方は入所していました。夜間勤務時はこの各棟に対して職員が1名づつ、それとは別にもう1名、後作業専門にパート職員が1名ついていました(この中のひとりに、在日フィリピン人の方が1人おられました、外国人の方は日本人と違い、会話の際に裏を読むとか、忖度をするといったことはああまりしないため、発達障害の私にとっては、とても話しやすい方でした)。施設によっては全体で1名というところも珍しくないので、この点はかなり働きやすい職場でした。ただ場面場面によっては1人で対応しなければならないこともありました。
人数が少ないので、昼間時と比べて責任が大きくなります。夜間は利用者の方の身体の急変や、時には死亡するケースも多く、緊急時には配置に関係なく、他棟の職員を呼んで対応しまし。この場合でも空白場面を作ってはいけないので、なかなか対応が大変でした。
最初の内は軽くパニックになりかけることもありましたが、回数を重ねるにつれ次第に的確な対応が取れるようになりました。
しかし何と言っても睡魔との闘いが大変でした。最初のころは休憩時間に寝てしまい、勤務の復帰時間に間に合わないことが度々ありました。そのため休憩はしてもあまり睡眠は取らないようにして、コーヒーやチョコレートで眠気予防に勤めました。
夜勤明けには、報告書の作成や雑務処理をしないといけないため、時間通りに終わることはなく、昼間で働いていたこともありました。その日はそのまま帰れますが、翌日には出勤の場合が多かったので、体調面の管理がなかなか大変でした。この仕事をしていた時は私は40代で正直かなり大変でしたが、私より年配の方も多く働いていました。

振り返って


7年間働きましたが、自身では最後の年にようやく1人前の仕事が出来るようになったかなという感じでした。しかしルーチンワークはこなせていましたが、それ以上の取り組みはなかなか出来ていなかったように思います。職場の雰囲気は悪くなかったですが、場合によっては命にかかわることもあるため、職員に求められるものはかなり厳しい面がありました。体力的には大変な仕事でしたが、結果がすぐ見通せない就労支援の仕事と違い、働きかけがすぐ結果に現れるので、その点はやりがいのある仕事でした。
今や自身が老人世代になってしまいました。この拙い体験が少しでも役立てば幸いです。

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local_offerevent_note 2020年9月22日
  • スピノザ

    フィットボクシングでダイエットしてます