障害者の割引事情

はじめに

今回の記事は障害者をめぐる割引事情について書いてみたいと思います。この記事は2020年9月現在の情報です。
割引の前提として、障害者(身体・療育・精神)手帳の提示が必要になります(ただし求めてこないところも一部あります)。

美術館・博物館


公共施設に関しては無料になる場合が一般的です。ただし常設展に関して無料であっても、企画展に関しては施設ごとに一定の割引額が設定されるケースが多いです。民営施設に関しても無料のものが多いですが、割引料金が設定されていることが多く、数は少ないですが、割引がない施設もあります。いずれの場合でも同伴者にも割引がつくケースが多いです。

映画館

一般料金が1800円のところを1000円になるケースが一般的です。また同伴者にも割引がつきます。しかしライブ配信上映や、オペラ作品の場合、料金自体高めに設定されており、障害者割引がないケースが一般的です。

コンサート・演劇


一般的にコンサート・演劇に関しては、ジャンルに関わらず障害者割引が設定されていないケースが大半です。ただし福祉系のコンサートや、一部のライブハウス公演などで、障害者割引が設定されている場合もあります。また近年は車いす席の設定や、託児施設を用意されている場合もあります。

テーマパーク

ディズニーランド・ディズニーシーには障害者割引はありません。ただし「ゲストアシスタントカード」というものがあり、アトラクションにおいて時間設定をして、並ばずに入ることができます。USJはワンデイパスで障害者および同伴者1名が半額になります。またディズニーランド・ディズニーシーと同じように「ゲストサポートパス」という並ばないですすむサービスがあります。それ以外で別料金で「エクスプレスパス」というものが購入でき、これは待ち時間から短縮することができます。「エクスプレスパス」は障害者・健常者に関わりなく利用できます。
他のテーマパークでも、概ね障害者割引が設定されています。

JR


障害者手帳で1種であれば、本人及び同伴者が半額になります。同伴者がいない場合は100キロ以上の距離であれば、やはり半額になります(ちなみに京都―西明石間の新幹線が98.7キロで、折り返して明石まで行くと100キロを超えます)。対象になる障害者は、身体・療育のみで、精神障害は適応されません。現在精神障害も対象にしようという動きもありますが、現段階では未定の状況です。

私鉄


私鉄ごとに割引料金が設定されています。また地方の中小の私鉄を中心に精神障害の割引を実施しているところもあります(2020年現在97社)。

バス


一般的には手帳を提示すると、同伴者も含めて半額になる場合が多いです。また市営交通では、運営する市が独自にパスを発行しており、無料になるケースも多くあります。高速・夜行バスは会社ごとに割引料金が設定されています。

航空機


航空会社によって変わりますが、おおよそ30~40%程度の割引が適用されます。同伴者に関しては航空会社によって異なります。精神障害者の適用が可能なのは、現在はJALだけです。割引の問題から離れますが、近年事前の連絡がないと、搭乗拒否されるケースが問題になっています。平成28年に「障害者差別解消法」施行されて数年が経ちます。施行当初は準備ができず、対応できないのも仕方なかった面がありますが、すでにかなりの時間が過ぎているにも関わらず、対応が遅れているのは由々しき事態だと思います。また一部には、事前予約なしの搭乗を「障害者の我がまま」と思われる方もいるようで、企業がこういった誤解を解くための、広報の必要性を感じます。

有料道路


利用するにあたって、事前に割引対象車両の登録を行わなければなりませんが、福祉の窓口で登録が可能です。申請するとETCカードをいただけます。カードの使い方は通常通りです。ただし精神障害は対象に入っていません。基本は料金が半額割引になります。

駐車禁止等除外標章


最後に割引からは外れますが、駐車禁止等除外標章(駐禁除外)について触れます。これは申請すれば取得できるもので、通常駐車禁止されている区域で駐車ができるものです。ただ一部に誤解があるようですが、「どこに駐車しても良い」というものではなく、可能な限り既存の駐車施設を利用するようにして、近隣に駐車施設がない場合や、障害の関係で駐車場所が限定される時に使用するものです。またもちろんのことですが、障害者がその車を利用している場合のみ適用されます(不正使用はこのケースが多いです)。

最後に


以上、一般的な障害者割引について紹介しました。一番新しい情報を基にしましたが、変わっているケースも多く、また個別の細かい設定もあるため、利用するにあたっては当該機関に事前に照会しておく方が良いとも思います。現在障害者割引が使える施設が多くなりましたが、諸外国に比べるとまだまだの面があり、また精神障害者の割引が行われていない場合が多いです。財政難や各企業の事情もあり、なかなか難しい問題もあると思いますが、障害者割引が増え、社会参加がより可能になる体制が築かれていくことを願いたいと思います。

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local_offerevent_note 2020年11月24日
  • スピノザ

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