声優の世界(2)千葉繫参上!の巻

はじめに

【画像引用 エキサイティング・プロデュース】
今回の記事で紹介するのは、声優の千葉繁(1954~)さんです。
筆者は子どもの頃からアニメ・特撮作品を好んで観てきましたが、内容や画もさることながら、「音」に関して強い興味を持ってきました。ひとつは「音楽」、もうひとつは「声」でした。特に声に関しては「声優」の存在が昔から気になっていました。今はどちらかというと女性声優への興味が大きいですが、子どもの頃は男性声優に興味がありました。ヒーローの声にも興味はありましたが、どちらかというと悪役や脇役の声に惹かれました。今回紹介する千葉繁さんは、主役より悪役・脇役で輝く存在でした。しかもどちらかというと目立たない存在である悪役・脇役を演じながら、とてつもない存在感を発揮し、時に主役の存在を食ってしまう、かなり稀有な存在の声優です。
この千葉繁さんの足取りを追いながら、その独特な演技を紹介したいと思います

アニメ「ONEPIECE」(1999~)で千葉さんが演じたバギー

声優としての道程

アニメ「ハイスクール奇面組」で千葉さんが演じた一堂零
【画像引用 個人ブログ】
千葉さんは1954年生まれで、熊本県の出身です。
中卒後、集団就職で上京し、横浜の工場に就職しました。ここで扱ったTVを観て、演技の世界に興味を持ったそうです。仕事を辞めてスタントマンの仕事に就き、また日活ロマンポルノの男優で出演したこともあるそうです。1976年から声優業を始め、アニメ「北斗の拳」(1984~88)での怪演(!)や予告編での振り切った演技が注目を集め、1985年にはアニメ「ハイスクール奇面組」で初の主役を務めました。また押井守(1951~)監督の作品の出演も多く、アニメ「うる星やつら」(1981~6)のメガネや、アニメ「機動警察パトレイバー」(1988~)のシバシゲオは、監督が千葉さんと共に膨らませて作った役でした。また押井作品の実写映画にも出演し、「獣電戦隊キョウリュウジャー」(2013~4)では、数話のみの出演でしたが、最高齢の戦隊ヒーローとして活躍しました。

ドラマ「獣電戦隊キョウリュウジャー」(2013~4)でキョウリュウバイオレットを演じる千葉さん

北斗の拳・そのザコ役の世界

「北斗の拳」で千葉繁さんが演じたシーカー
【画像引用 YouTube】
千葉さんは多くの作品に出演していますが、アニメファンにその名を知らしめたのはアニメ「北斗の拳」(1984~8)での活躍です。基本的に強くてヒーロー的な存在ではなく、悪役のどちらかというと「ザコキャラ」を演じていました。しかも特定のひとりの役ではなく、何人いや何十人に及ぶ役をやっています。大体倒される役が多く、セリフも「逃げろう!」といった情けないセリフが多く聞かれました。また時には悪役に殺される一般人の役も演じていました。当時のアニメファンから「一人百役」と呼ばれ、ある意味ヒーロー声優以上に注目を集める存在でした。「北斗の拳」の作中で、悪人が倒される際に「ひでぶ」「あべし」といったよく判らない最後のセリフを発することで有名ですが、千葉さんを含めた声優たちが、原作にはない最後のセリフをアドリブで競うようにして発したそうです(ただ少しやりすぎてNGになったこともあったそうです)。
また「北斗の拳」での千葉さんと言えば、その過剰(!)な予告編ナレーションでも有名になりました。最初は比較的普通にしゃべっていたのですが、次第にテンションが高くなり、アニメファンから喝さいを浴びました。しかしあまりにもテンションを上げすぎたので、いったん元のしゃべり方に戻したのですが、そうするとファンからクレームが入り、千葉さんは腹をくくって再びテンションをあげました。これらは千葉さんにとってかなり過酷なことだったようで、たびたび過呼吸になったり、また仕事中に倒れないように、壁に持たれて仕事をするなど、文字通り「命がけの」行いでした。
しかしこれのことがアニメファンに熱狂的に迎えられ、千葉さんに取ってはターニングポイント的な仕事になりました。

次第にテンションが高くなる予告編

伝説の声優


アニメ「うる星やつら」で千葉さんが演じたメガネ(役名)
【画像引用 個人ブログ】
現在はアニメ作品の音響監督の仕事もしており、また新しいアニメ「うる星やつら」(2022)では龍之介の父親の声で出演するなど、64歳(2013年)になった現在も、多くの作品で怪演を続けています。これからも千葉さんの活躍が楽しみです。

千葉さんの演じ分け映像

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local_offerevent_note 2023年8月8日
  • スピノザ

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