ボランティアの価値観について

私は高校時代から現在に至るまで、さまざまなボランティア活動をしてきました。
高校と大学時代に経験したボランティアに関しては、「私がボランティアで経験したこと(1)(2)」で書きましたが、この記事では少し違う視点から書いてみたいと思います。
私がボランティアで経験したこと(1)
私がボランティアで経験したこと(2)
私が大学時代に所属していたボランティアグループは、京都市と京都府南部の地域を活動対象としたボランティア組織でした。また私の属していたボランティアグループは、在宅の重度身体障害者の外出支援を行っていました。このあたりの話は前述の「私がボランティアで経験したこと(2)」に書きましたが、そこで紹介した「ケース」活動(障害が重度で外出支援が必要な方が支援対象として選ばれ、一人一人の方に数名の学生が付き外出支援を行うもの)とは別に、外出支援も行っていました。
これは本来のケースの担当者の都合がつかず、別のケースの担当者が行ったり、ケース活動はしていないが、外出介助を頼みたい方の支援を行ったり、また週1回のケース活動とは別の日に外出したい方の支援を行ったりと、いろいろな形で対応していました。
個々の介助に関して特に問題はなかったのですが、次第にこのケース以外の外出支援の割合が増えてきて、本来のケース活動を上回る回数になっていきました。すでにこの頃にはいろいろなボランティアグループが活動していたのですが、外出介助を委託してきた障害者団体が、私たちのグループ以外のボランティアを利用することをせず、私たちのグループに「丸投げ」状態で支援を頼んできました。
入部後しばらく経って判ったのですが、この障害者団体はある政党に所属する団体で、他のボランティアが介入することを嫌い、私たちのボランティアグループのみに依頼をしてきたようです。また言い方が少々悪くなりますが、この団体は学生ボランティアを、「道具」扱いしているきらいがあり、このことは他のサークル員もみな感じており、ミーティングなどでも度々話題に登っていました。しかし個々の障害者には与り知らないことなので、納得できないながらも、結局外出支援を行っていました。
ただ時間を取るために、生活のためにバイトが必要な学生はあまり参加できず、私のようなバイトをしていない学生に役割が回ってくることが多く、1年目の夏休み中は、私の同じようにバイトをあまりしていない女性の先輩とふたりで、ほぼすべての外出介助を行ったこともありました。

これらの個別の外出支援とは別に、行事のために複数の障害者とボランティアが参加するケースもありました。日帰りが出来るスポーツ行事の参加は良かったのですが、1泊で参加する旅行行事が大変でした。
まずボランティアの参加者は、交通費や宿泊代をすべて自腹で参加していました。この時代(1980年代の初め)は他のボランティアグループでも自腹参加は良く行われていましたが、それでもさすがに丸々自腹を切るケースは珍しかったと思います(これは今でもあまり変わっていないようです)。またこの頃すでにボランティア保険が出来ていましたが、それに加入することはありませんでした。
また障害者の人数はあらかじめ決まっているため、それに必要なボランティアを集める必要がありました。行事は学生の休み時期に行われることが多く、すでに帰省している学生も多くいました。しかし学生の「動員」はある意味「絶対」だったので、ボランティアの先輩グループは、帰省している学生の実家まで電話を掛けて、戻ってきて介助を行うように伝えたりもしていました。これらのことによってボランティアが嫌になり、辞めてしまった学生もかなりいました。
私自身も心の中ではおかしいと思ってはいたのですが、先輩グループの「熱意」に引きずられ、電話での「説得」に加担することになってしまいました。後に辞めていった人たちとも話をして、お互いの気持ちを理解することが出来ましたが、このことは未だに自身の中で拭い去れない感情として残っています。
こういった活動を繰り返していく内に、元々身体が弱かった私は、2年目の5月頃に身体を壊してしまいました。ケース活動のみ行い他の外出支援は免除してもらうことにして療養に努めました。この期間に私はこれまでの活動を振り返り、結局サークルを退部することにしました。別のボランティア活動を行おうと思いましたが、この時私は「燃え尽き状態」になってしまい、3年生になるまでの1年余り、ボランティア活動に手が付きませんでした。

結局延期になりましたが(中止になる可能性もありますが)、東京オリンピックで動員されるボランティアがブラックではないかという話を聞くたびに、この学生時代にことを思い出します。ボランティアといえども責任感は必要ですが、あくまで自発的に行うものであり、動員する側はボランティアを「安上り要員」として利用するのではなく、福祉やスポーツへの興味の取っ掛かりになるものとして、きちんと捉えてほしいと思います。

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local_offerevent_note 2020年6月30日
  • スピノザ

    フィットボクシングでダイエットしてます