特撮三昧(3)

仮面ライダーギーツ×リバイス MOVIEバトルロワイヤル(2022)

【画像引用 個人ブログ】
今回の記事は最近観た3つの特撮映画の紹介です。
最初に紹介するのは「仮面ライダーギーツ×リバイス MOVIEバトルロワイヤル」です。監督の柴﨑貴行(1978~)は東映特撮作品で定評のある監督です。「仮面ライダーギーツ」(2022~3)と「仮面ライダーリバイス」(2021~2)のクロスオーバー作品です。また「仮面ライダー竜騎」(2002~3)のライダーもゲスト参戦します。
TV版で闘いの終わった仮面ライダーリバイスは、平穏な日々を取り戻し家族と穏やかな日常を過ごしていました。一方仮面ライダーギーツは、仮面ライダー同士で競い合う「デザイアグランプリ」の闘いを続けていました。しかしいつもとルールの違う闘いが行われることになり、そこにはリバイスの家族に新しく生まれた、赤ちゃんの存在が関わっていました。
「デザイアグランプリ」では、直接ライダー同士が闘うことはあまりないのですが、今回参戦する仮面ライダー龍騎は、ライダーバトルの名でライダー同士が闘いあうもので、いずれのバトルでも最終的に勝ち残ったライダーが、願いをかなえられるという話になっています。またリバイスの力の基になっているのは、古来から存在する「悪魔」と契約することでライダーに変身するというもので、この悪魔の力が赤ちゃんが関わっていたのです。
ここまで読んでいまひとつ内容が理解できない方が多いと思いますが、書いてる筆者自身も、よく判っていない節があるので仕方がありません(笑)。物語自身は最新のふたつのライダーが中心ですが、筆者の興味は龍騎の参戦にありました。別の記事でも触れましたが、筆者は「仮面ライダー龍騎」が平成以降のライダー作品では最高傑作であると思っています。
ネタバレ要素が多いのであまり結末までは詳しく書けませんが、リバイスと龍騎の残されていた課題が最終的に決着し、現在放送中のギーツの物語につながるという展開になっています。なにかややこしい話のようにも思えますが、TVシリーズを観ていなくても、アクションシーンも含めて楽しめる内容なので、興味のある方は配信、DVDなどで楽しんみて下さい。

突撃!隣のUFO(2023)

【画像引用 有限会社リバートップ】
次に紹介するのは「突撃!隣のUFO」です。監督の河崎実(1958~)は「バカ特撮映画」の巨匠で、「いかレスラー」(2004)、「かにゴールキーパー」(2006)、「地球防衛未亡人」(2014)、「メグ・ライオン」(2020)「超伝合体ゴットヒコザ」(2022)といったタイトルだけでもバカが判る作品を撮り続けてきました。一方バカな内容ではありますが、あふれる特撮愛(特にウルトラシリーズ)に裏打ちされており、普通の特撮ファンからも好評を得てます。また作品自体はかなりきちんと作られており、クラウドファンディングの利用や、町おこしとの提携を行ったりして、収支もきちんとペイしているそうです。またヒロインに必ずアイドルを出演させるのも特徴です。
今回の作品はヨネスケ(1948~)が主演で、持ちネタであるしゃもじを持って一般家庭に突入するといういつものパターンで、宇宙人やUFOに突撃するという内容です。しゃもじも宇宙人が残していった特殊兵器で、宇宙人にさらわれた家族を取り戻すために、民間の研究機関「URL(UFO RESEARCH LABORATORY)」に所属し、いまひとつ仕事にやる気のない若い隊員を連れて、UFOに突撃します。
全編グダグダ感満載で、宇宙人に扮するハリウッドザコシショウ(1974~)は通常運転の自身のギャグ連発で、本編に関係なく監督と矢追純一(1935~)やいしだ壱成(1974~)や「月間ムー」の編集長がエリア51(*)で見たUFOの話を突然始めるといった、ムチャクチャな内容です。特撮もなかなかチープです。しかしこのでたらめ感が心地よく(筆者にとっては)、また端々に入ってくる、過去の特撮作品のパロディがなんというかなって感じです。物語はクソつまらないオチがついて終わります。
人によっては「なぜこんなものを観せられるのか!」と思うかもしれませんが、そこを納得(?)すれば、なかなか楽しめる映画です。あなたも河崎ワールドを満喫してください。

*エリア51
エリア51

シン・仮面ライダー(2023)

【画像引用 ゲームウワッチ】
最後に紹介するのは「シン・仮面ライダー」です。監督は「エヴァンゲリオン」シリーズで著名な庵野秀明(1960~)が務めており、「シン・ゴジラ」(2016)「シン・エヴァンゲリオン劇場版」(2021)「シン・ウルトラマン」(2022、制作参加)に続く「シン」シリーズの1作で、TV放送された「仮面ライダー」(1971~3)のリメイク作品です。(以下一部ネタバレが含まれています。「シン・ゴジラ」「シン・エヴァンゲリオン劇場版」「シン・ウルトラマン」に関しては、下記の記事を参照して下さい。)
「シン・ゴジラ」の彼方へ
日本の映画監督(2)庵野秀明
特撮三昧(2)
世界の支配を狙うショッカー(Sustainable Happiness Organization with Computational Knowledge Embedded Remodeling(人類の持続可能な幸福を目指す愛の秘密結社)は、人間の持つプラーナの力を、昆虫などの生物と合体させ、オーグメントと名付けた改造人間を作り、侵略のために使っていました。しかしショッカーの協力者であった緑川博士は、娘のルリ子を連れて組織を脱出し、博士の意思を体現させたバッタオーグ(仮面ライダー)に本郷猛を改造して、彼にショッカーと闘うよう頼みました。しかし変身時に暴力衝動を抑えるのが難しく、当初は闘いを断ろうとしましたが、ショッカーのたくらみを知る中で闘うこと決意します。ショッカーは彼らをつけ狙い博士を殺害するも、最初の改造人間クモオーグは倒されます。逃亡の旅に出た猛とルリ子を捉えるために、ショッカーは2体目のバッタオーグ一文字隼人を送ります。一方ショッカーの存在を知った日本政府は、ショッカー打倒のための秘密組織を作り、ふたりに接触してくるのでした。
とにかく面白い映画でした。「シン・ウルトラマン」がどちらかというと笑える内容だったのに対して、「シン・仮面ライダー」はもう少しシリアス寄りの内容でした。ショッカーの目的が単なる侵略ではなく、人間の持つ邪悪な意思を昇華して、「あちら側の世界」の連れていくという発想は、「エヴァンゲリオン」の「人類補完計画」にパラレルの様な気がしました。また出演俳優が「シン・ゴジラ」や「シン・ウルトラマン」と被っており、明言はされていませんが「シン・サガ」(*)の構想があるのではと思わせます。全体的にTVシリーズ内容を踏まえており、筆者は「ウルトラマン」ほど「仮面ライダー」に詳しくないのですが、「あ、これあのシーンやな」と思わせるところが散見されました。また石ノ森の他の作品(「ロボット刑事K」)をリスペクトした登場人物も出てきます。
また役者の使い方が贅沢で、怪人役で出演する長澤まさみ(1987~)は5分余りで退場し、筆者は最初長澤まさみと気づけませんでした。他にも声の出演だけで松坂桃李(1988~)、回想シーンで一瞬だけ安田顕(1973~)、市川実日子(1978~)、仲村トオル(1965~)等が出演していました。政府の秘密組織の人間が最後に名を明かすのですが、立花(竹野内豊(1971~))と滝(斎藤工(1981~)と名乗ったのには笑ってしまいました。
しかしなんといっても本郷猛を演じる池松壮亮(1992)、ルリ子を演じる浜辺美波(2000~)、一文字隼人を演じる柄本佑(1986)の演技が圧巻で、特に池松壮亮は改造人間の悲哀を上手く表現していました。またショッカーのラスボスを演じた森山未來(1984~)の演技も素晴らしく、エヴァンゲリオンの碇ゲンドウに通じる、狂気と優しさのアマルガムを表現していました。
作品のメイキング映像がNHKで紹介されましたが、庵野秀明の理不尽とも思えるスタッフへの要求が、パワハラではないかと物議をかもしました。また作品が悲劇的な暗い内容のためか、興行成績もあまり伸びてないようです。しかし筆者は実写版の「シン」シリーズの中では、最も庵野秀明らしい作品ではないかと思いました。そういった意味で観る人を選ぶ映画ではあるかもしれません。しかし筆者にとって、作品の弱点も含めて素晴らしい内容だと思いました。
(*)サガ
サガ

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local_offerevent_note 2023年4月14日
  • スピノザ

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